
2026.10.29 文・川崎 誠
「お墓の掃除のやり方」の記事では、掃除全体の順番を書きました。今日は、その中で手が止まりやすい「この汚れはどう落とすか」を、汚れの種類ごとにまとめます。苔については「お墓の苔の落とし方」の記事をご覧ください。
どの汚れにも共通の基本
まず水:乾いたままこすると、砂ぼこりで石に細かい傷がつきます。先に水をかけて、汚れをやわらかくしてから。
やわらかい道具:スポンジ、やわらかい布、歯ブラシ。金属のたわしやワイヤーブラシ、研磨剤入りのスポンジは使いません。磨いた石の表面のつやが消えます。
洗剤は最後の手:使うなら台所用の中性洗剤を薄めて、少しだけ。使ったあとは、洗剤が残らないように水でよく流します。酸性やアルカリ性の洗剤(トイレ用、カビ取り剤、さび取り剤など)は、石や目地を傷めることがあるので使いません。
文字はやさしく:彫った文字に色が入っている墓石は、強くこすると色がはげます。文字の部分は、歯ブラシで軽くなでる程度に。
白い水垢
墓石の上や側面に、白い輪じみや筋のように残る汚れです。かけた水や雨が乾くとき、水に溶けていた成分が残ったものです。
軽いものは、水をかけてスポンジでこすり、乾いた布で拭き取れば薄くなります。何年も重なって固くなったものは、自分で削ろうとすると石を傷めます。気になるときは石材店に相談してください。
これ以上増やさないためには、掃除の最後に水気を拭き取ることがいちばん効きます。
鳥のふん
乾いたふんを、いきなりこすり取ろうとしないでください。固い粒で石に傷がつきます。
水をかけて、濡らした布をしばらく当てておき、やわらかくなってから拭き取ります。残ったしみは、薄めた中性洗剤をつけたスポンジでやさしく。ふんは長く置くほど落ちにくくなるので、見つけたらその日のうちに。
ろうそくのろう
ろうは、溶かそうとするより、固まった状態ではがすほうが楽です。プラスチックのへらや、使い古したカード、割りばしの先で、石に当てる角度を浅くして少しずつ浮かせます。金属のへらは傷がつくので使いません。
薄く残ったろうは、ぬるま湯をかけてやわらかくし、布で拭き取ります。ろうそく立てを使うと、次から墓石に垂れにくくなります。
線香のすすと油
香炉のまわりが黒っぽくなるのは、線香の煙のすすと、燃えるときに出る油分です。
水で流してから、薄めた中性洗剤をつけたスポンジで拭き、水でよく流します。香炉の中の灰や燃え残りも、このときに取り出しておくと、雨で灰が固まるのを防げます。
さび
花立ての金具、空き缶、釘、ヘアピンなど、鉄のものを墓石の上に置いたままにすると、茶色いさびのしみがつきます。
さびは石の中にしみこむので、こすっても落ちません。市販のさび取り剤には石を傷めるものもあるため、自分で試すのは避けて、石材店に相談するのが確かです。お供えの缶は、お参りのあと持ち帰ります(「故人の好物をお墓に供えるとき」の記事)。
目地から出る白い粉
石と石のつなぎ目や、台の下から、白い粉や白い筋が出てくることがあります。目地のセメントの成分が、雨水と一緒に表面に出てきたものです。
表面の粉は、水で流してやわらかいブラシで落とせます。何度も出てくる、目地がやせてすき間が見える、という場合は、目地の傷みのサインです(「お墓の傷みのサイン」の記事)。石材店に見てもらってください。
最後に水気を拭き取る
掃除が終わったら、乾いた布で墓石の水気を拭き取ります。拭かずに帰ると、乾いた跡が白い水垢になります。とくに、上の面と、文字の彫ってある正面は念入りに。
高圧洗浄機は、目地や文字の色入れを傷めることがあり、墓地によっては使えません。使う前に墓地の決まりを確かめ、迷ったら使わないほうが無難です。
つなぐのお参りでは
つなぐは広島県内のお墓へ伺い、清掃とお供えをしたうえで、ビデオ通話でご家族とご一緒にお参りする会社です。清掃では、水とやわらかい道具で墓石を洗い、最後に水気を拭き上げます。さびや固い水垢のように、自分で触ると石を傷めるものには手を出さず、写真でお知らせします。石材店に相談するときの材料にしてください。
よくある質問
問:家にある洗剤を持っていってもいいですか。——答:台所用の中性洗剤なら、薄めて少しだけ使えます。それ以外の洗剤は、石や目地を傷めることがあるので持っていかないほうが安心です。
問:墓石のつやがなくなってきました。——答:長年の雨風で、表面のつやは少しずつ落ちます。強くこすると早まります。つやを戻す磨き直しは、石材店の仕事です。
問:汚れがどうしても落ちません。——答:無理に削らず、そのままにして石材店に相談してください。汚れより、削った傷のほうが元に戻せません。
まとめ
墓石の汚れは、まず水でやわらかくし、やわらかい道具で落とす。洗剤は薄めた中性洗剤を少しだけ。水垢は軽いうちに、鳥のふんは濡らしてから、ろうは固まった状態でへらで、すすと油は中性洗剤で。さびと固い水垢、何度も出る目地の白い粉は、石材店に相談する。終わったら、水気を拭き取って帰る。
きれいにするのは、石のためでもあり、次にお参りする人のためでもあります。