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分骨とは——手続きと分骨証明書、費用の目安、手元供養との関係、あとで困らないための決めごと

分骨は、遺骨の一部を分けて、別のお墓や納骨堂、あるいは手元に置くことです。「実家のお墓は残したいが、自分の近くでも手を合わせたい」という遠方の家族にとって、墓じまいや改葬をしなくてすむ、現実的な選択肢の一つです。

高台から見た、雲の広がる空と遠くの山

2026.10.10 文・川崎 誠

改葬の記事に「一部の遺骨だけ移すことはできますか」という質問を入れました。その答えが分骨です。しまう・移すの記事を読んで「全部を動かすのは重い」と感じた方に向けて、分けるという形をまとめます。

この記事では、分骨とは何か、二つの場面での手続き、費用、手元供養との関係、よくある不安、家族で決めておくことを書きました。

分骨とは

分骨は、一人の遺骨を二か所以上に分けて納めることです。法律で禁じられてはおらず、墓地埋葬法の施行規則に手続きが定められています。昔から、本山納骨(宗派の本山に一部を納める)という形で広く行われてきました。

分けた遺骨は、別のお墓、納骨堂、永代供養墓、樹木葬に納めるほか、小さな骨壺やペンダントに入れて自宅に置く「手元供養」にもできます。海への散骨に一部を使う方もいます。

場面① 火葬のときに分ける

いちばん手続きが軽いのは、火葬のときです。葬儀社に「分骨したい」と伝えると、骨壺を二つ用意し、火葬場で分けて納めてくれます。

このとき、火葬場(または市区町村)から「分骨証明書」をもらいます。分けた遺骨をあとでお墓や納骨堂に納めるときに必要になる書類です。手元供養のつもりでも、将来納めることになるかもしれないので、必ずもらって保管してください。

費用は、骨壺の追加で数千円〜2万円、分骨証明書の発行手数料で数百円が目安です。

場面② すでにお墓に納めた遺骨を分ける

お墓に納めたあとで分ける場合は、手順が増えます。①いまのお墓の管理者(お寺・霊園)に分骨したい旨を伝え、了解を得る。②管理者から「分骨証明書」を書いてもらう。③石材店に頼んで納骨室を開け、遺骨の一部を取り出す。お寺なら、取り出す前に法要(お性根抜き・閉眼供養)をお願いすることが多い。④分けた遺骨を納め先に運び、分骨証明書を渡す。

お墓の管理者が発行する分骨証明書は、墓地の管理者が「この墓地に納められていた◯◯の遺骨の一部です」と証明する書類です。市区町村の改葬許可証とは別のもので、分骨には改葬許可は要りません(遺骨の一部が元のお墓に残るため)。ただし、全部を移すなら改葬になります。

費用は、納骨室の開閉で2万〜5万円、法要のお布施で1万〜5万円、分骨用の骨壺で数千円〜が目安です。

分骨証明書は、一か所につき一通

分骨証明書は、分けた遺骨の数だけ必要です。三か所に分けるなら、三通。あとで「もう一か所に納めたい」となったときは、その時点で納めているお墓の管理者に新しく書いてもらいます。

手元供養にしている遺骨は、証明書がなくても家に置いておけますが、いつか納める日が来たときに証明書がないと受け入れを断られることがあります。火葬のとき、または最初に分けたときの証明書を、骨壺と一緒に保管してください。

遠方の家族にとっての分骨

実家のお墓はそのまま残し、一部を自分の住む街の納骨堂や樹木葬に納める。あるいは小さな骨壺で手元に置く。こうすると、実家のお墓を閉じなくてよく、お参りも二か所でできます。

費用は、墓じまいや改葬よりはるかに軽く、手続きも分骨証明書一枚と納骨室の開閉だけです。「お墓を動かすほどではないが、遠すぎて年に一度も行けない」という家族には、まず検討してほしい形です。

一方で、実家のお墓は残るので、管理費とお参りは続きます。「残す」と決めたお墓をどう続けるかは、「遠くのお墓を残すと決めたら」の記事に書きました。

「分骨はよくない」と言われたら

親戚から「体を分けるのはかわいそう」「成仏できない」と言われることがあります。これは気持ちの話で、仏教の教えに分骨を禁じるものはありません。お釈迦様の遺骨(仏舎利)が各地に分けて納められていることが、その根拠として挙げられます。宗派の本山納骨も、分骨そのものです。

ただ、気持ちの話だからこそ、話し合いは必要です。「なぜ分けたいのか」(遠くて行けない、手元で毎日手を合わせたい)を伝え、「元のお墓はそのまま守る」と約束すると、受け入れてもらいやすくなります。

家族で決めておくこと

①どこに何を納めるか(元のお墓・新しい納め先・手元)。②分骨証明書を誰が保管するか。③手元供養の遺骨は、保管している人が亡くなったあとどうするか(元のお墓に戻す、一緒に納める、合祀にする)。④元のお墓のお参りと管理費は、引き続き誰が担うか。

とくに③は決めずにいると、次の世代が「この骨壺はどうすれば」と困ります。小さくても、遺骨は遺骨です。行き先を一行、書いて残しておいてください。

つなぐのお参りでは

つなぐは広島県内のお墓へ伺い、清掃とお供えをしたうえで、ビデオ通話でご家族とご一緒にお参りする会社です。分骨して遠方に一部を持っていったあとも、元のお墓は残ります。その元のお墓を年に一度きれいにして、ビデオ通話で手を合わせる一回として、お使いいただけます。分骨の手続きそのものはご家族とお寺・石材店の間のことですが、「納骨室を開ける前に、いまのお墓の状態を見ておきたい」という場面でもお役に立てます。

よくある質問

問:分骨に、家族全員の同意は必要ですか。——答:法律上は、お墓の名義人(使用者)の了解があれば手続きできます。ただ、あとの争いを避けるため、兄弟や親には先に伝えてください。

問:手元供養の遺骨は、どのくらいの量ですか。——答:決まりはありません。小さな骨壺で親指の先ほど、ペンダントなら米粒ほど。残りは元のお墓にそのまま、という形が多いです。

問:分骨した遺骨を、あとで元に戻せますか。——答:戻せます。元のお墓の管理者に伝え、納骨室を開けて納め直します。分骨証明書があれば手続きは簡単です。

まとめ

分骨は遺骨の一部を別の場所に納めること。火葬のときなら葬儀社に伝えるだけ、お墓に納めたあとなら管理者の了解と納骨室の開閉が要る。どちらも分骨証明書を一か所につき一通もらい、骨壺と一緒に保管する。改葬許可は不要。費用は数千円〜10万円ほどで、墓じまいや改葬より軽い。宗教上の禁止はないが、親戚への説明は必要。手元の遺骨の将来の行き先を決めておく。

全部を動かさなくても、近くで手を合わせる形は作れます。分けるという選択を、一度は候補に入れてみてください。

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