
2026.10.23 文・川崎 誠
これまで、お墓をしまう話、移す話、残す話を書いてきました。今日は、その手前の「お墓に納める」話です。親を見送ったあと、最初に向き合うお墓のことです。
時期の目安
多いのは四十九日の法要に合わせる形です。法要のあと、そのままお墓に移って納骨します。親戚が集まる日なので、一度で済みます。
ほかに、百か日、一周忌、お彼岸やお盆に合わせる家もあります。新しくお墓を建てる場合は、完成まで数か月かかるので、一周忌に合わせることが多いです。
法律上の期限はありません。気持ちの整理がつくまで家に置いておく、という家もあります。ただ、長く家に置くと「いつにしよう」が決まらなくなりがちなので、目安の日を一つ決めておくのがおすすめです。
必要な書類
①埋葬許可証:火葬のときに火葬場から返される書類(火葬許可証に火葬済みの印が押されたもの)。骨壺の箱に一緒に入っていることが多いです。これがないと納骨できません。なくした場合は、火葬をした市区町村の役所で再発行を頼みます。
②墓地の使用許可証(永代使用承諾書):お墓の名義を示す書類。霊園では提示を求められることがあります。
③印鑑:霊園の手続きで使うことがあります。
名義人が亡くなった方本人の場合は、納骨と同時に名義変更(承継)の手続きをすることもあります。「親が亡くなった後のお墓」の記事に書きました。
連絡の順番
①お寺(または霊園)に日取りを相談する。お寺の墓地なら、法要と納骨を同じ日に住職にお願いします。②石材店に連絡する。納骨室(カロート)を開け閉めする作業と、墓誌への文字の彫刻を頼みます。彫刻は2〜3週間かかるので、早めに。③親戚に日時を知らせる。
霊園で、自分で納骨室を開けられる構造なら、石材店を呼ばずに家族で納めることもできます。重い石のふたが多いので、無理はしないでください。
当日の流れ
①お墓を掃除し、花と線香を供えておく(前日でも可)。②法要(お寺の本堂か、お墓の前で読経)。③石材店が納骨室を開ける。④遺骨を納める(骨壺のまま、または布袋に移して、地域による)。⑤納骨室を閉じる。⑥住職の読経のもと、一人ずつ焼香し手を合わせる。⑦会食(する家としない家がある)。
所要時間は、法要から納骨まで1〜2時間ほどです。雨の日でも、多くは予定どおり行います。
費用の目安
お布施(納骨法要):3万〜5万円。四十九日法要と同じ日なら、まとめて5万〜10万円ほど。住職に来てもらう場合、お車代5千〜1万円。
石材店:納骨室の開閉で2万〜5万円。墓誌や墓石への彫刻で3万〜5万円。
霊園の手数料:数千円〜1万円かかる所もあります。
合計で、10万〜20万円ほどを見ておくと安心です。
遠方から納骨に行くとき
遺骨を持って移動する場合、電車や飛行機には手荷物として持ち込めます。骨壺は箱と風呂敷に包んで、膝の上かそばに。飛行機は、事前に航空会社に伝えておくと、保安検査がスムーズです。
日程は、お寺・石材店・親戚の三者の都合を合わせるので、2か月前には動き始めてください。現地に行くのが一度きりなら、前日に到着して掃除を済ませ、当日は法要と納骨だけ、という組み方が落ち着きます。
どうしても全員が集まれないときは、ビデオ通話で遠方の親戚をつなぐ家も増えています。
すぐに納骨できないとき
お墓がまだない、改葬を考えている、気持ちの整理がつかない。そういうときは、自宅に置くか、お寺や霊園の一時預かり(年に数千〜数万円)を使います。
自宅に置く場合は、仏壇か、静かな棚の上に。直射日光と湿気を避けます。一時預かりは、墓地を決めるまでのつなぎとして便利です。
つなぐのお参りでは
つなぐは広島県内のお墓へ伺い、清掃とお供えをしたうえで、ビデオ通話でご家族とご一緒にお参りする会社です。納骨の前日にお墓をきれいにしておく回として、また納骨の日に来られない遠方のご家族を、その場からビデオ通話でおつなぎする形でもお手伝いできます。納骨そのものはご家族とお寺・石材店で進めることですが、「当日までにお墓を整えておきたい」という段階でお役に立てます。
よくある質問
問:埋葬許可証が見つかりません。——答:骨壺の箱の中、葬儀社からもらった書類の束をまず確認してください。なければ、火葬をした市区町村の役所で再発行できます(火葬から5年以内が目安。それより古い場合は役所に相談)。
問:納骨のときの服装は。——答:四十九日と同じ日なら喪服。一周忌以降の納骨だけなら、地味な平服でも構いません。
問:分骨して一部を手元に残したいです。——答:納骨の前に分ければ手続きは簡単です。「分骨とは」の記事に書きました。
まとめ
納骨の時期は四十九日が多く、期限はない。必要なのは埋葬許可証と墓地の使用許可証。お寺と石材店に早めに連絡し、彫刻は2〜3週間前に。当日は掃除・法要・納骨・焼香で1〜2時間。費用は10万〜20万円。遠方からは2か月前に動き、前日に掃除を済ませる。すぐ納めないなら、自宅か一時預かり。
納骨は、見送りの最後の一歩であり、お墓参りの最初の一日です。慌てずに、段取りを一つずつ。